強直性脊椎炎とは?原因と症状を解説
医療と看護を知りたい
「強直性脊椎炎」ってどんな病気ですか?
医療の研究家
「強直性脊椎炎」は、脊椎が硬く一本の骨のようになって動かなくなる自己免疫疾患だよ。
医療と看護を知りたい
どういう仕組みで脊椎が硬くなるんですか?
医療の研究家
椎間関節や靭帯が骨化して、体幹の動きが制限されていくんだ。
強直性脊椎炎とは。
「強直性脊椎炎」は、脊椎が徐々に硬く固まって動かせなくなる自己免疫疾患です。非感染性で、指定難病に指定されています。日本ではあまり多く見られませんが、10~20代男性に多く、家族歴がある場合もあります。
通常、仙腸関節から始まり、徐々に脊椎の上部へ広がります。同時に、脊椎の靭帯や骨膜も骨化し、体の動きが制限されていきます。レントゲン検査では、脊椎が竹の節のように四角く並んで見える「竹様脊椎」という特徴的な所見が見られます。
強直性脊椎炎の症状
強直性脊椎炎の症状は、一般的に徐々に現れます。初期段階では、起床時や安静後に腰やお尻の鈍痛やこわばりを感じることがあります。これらの症状は運動することで軽減することがありますが、休息すると再び悪化します。
進行すると、こわばりがより持続的になり、背中の痛みや首の痛みも現れるようになります。また、胸部の拡張や前屈が困難になるなどの動きが制限されることもあります。場合によっては、目が赤くなる、手足の皮ふに発疹が出るなどの全身症状を伴うこともあります。
強直性脊椎炎の原因
強直性脊椎炎の原因は、現時点では完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が関与していると考えられています。
遺伝的要因は重要な役割を果たしており、HLA-B27という遺伝子型を持つ人は強直性脊椎炎を発症するリスクが高いことがわかっています。しかし、すべての人がHLA-B27陽性でも発症するわけではありませんし、HLA-B27陰性でも発症する人もいます。
免疫系の異常も原因の一つと考えられています。何らかの原因で免疫細胞が関節組織を攻撃し、炎症を引き起こすとされています。この炎症が慢性化すると、椎骨や仙腸関節をすり減らし、強直性脊椎炎の症状が現れます。
また、感染症も強直性脊椎炎の発症に関与している可能性があります。特定の細菌やウイルスの感染が、免疫系の異常を誘発し、強直性脊椎炎につながるのではないかと考えられています。
強直性脊椎炎の診断
強直性脊椎炎の診断
強直性脊椎炎の診断は、症状の評価, 画像検査, 血液検査に基づいて行われます。
症状の評価では、腰痛, 朝のこわばり, 脊柱の硬直, 仙腸関節の痛みなどの症状について医師が尋ねます。
画像検査では、X線, MRI, CTスキャンなどが使用され、脊椎や仙腸関節の損傷や変化が評価されます。
血液検査では、HLA-B27抗体の有無が検査されます。HLA-B27抗体は、強直性脊椎炎患者に多く見られる遺伝子マーカーで、診断の補助として使用されます。ただし、HLA-B27抗体が陽性であっても、必ずしも強直性脊椎炎であるとは限りません。
強直性脊椎炎の治療法
強直性脊椎炎の治療法は、症状を緩和し、進行を遅らせることを目的としています。主な治療法としては、薬物療法、運動療法、理学療法などが挙げられます。
薬物療法には、炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や生物学的製剤などが用いられます。生物学的製剤は、免疫系を標的とする薬で、炎症反応を抑える効果があります。運動療法は、筋肉の柔軟性と関節の可動域を維持するために重要です。理学療法では、姿勢の改善や痛みの軽減のための運動やストレッチが指導されます。
強直性脊椎炎の合併症
強直性脊椎炎の合併症
強直性脊椎炎は、脊椎や仙腸関節の炎症によって引き起こされる進行性の疾患です。炎症が長期化すると、さまざまな合併症が発生する可能性があります。
眼の合併症
強直性脊椎炎では、約20~30%の患者が眼の合併症を発症します。最も一般的なものはぶどう膜炎で、眼球内の虹彩や毛様体、脈絡膜に炎症が起こります。他の合併症としては、ドライアイや眼虹彩炎などがあります。
骨の合併症
強直性脊椎炎では、脊椎の骨が癒合して竹のような状態になることがあります。これを竹様脊椎と呼びます。また、脊椎圧迫骨折や骨粗鬆症のリスクが高まります。
心臓血管系の合併症
強直性脊椎炎患者では、心臓弁膜症、大動脈弁閉塞症、心膜炎などの心血管系の合併症が発生するリスクが高くなります。
その他
その他にも、肺繊維症、腎盂腎炎、アミロイドーシスなどの合併症が発生する可能性があります。これらの合併症は、強直性脊椎炎の進行や治療に対する反応によって異なります。