人工呼吸器とは？役割と仕組みを解説

人工呼吸器とは？役割と仕組みを解説

人工呼吸器の役割と仕組み

-人工呼吸器の役割と仕組み-

人工呼吸器は、肺の機能を代替して、呼吸をサポートまたは制御するものです。その主な役割は、患者の体に必要な酸素を供給し、発生した二酸化炭素を除去することです。

人工呼吸器は、次の仕組みで働きます。

* -回路- 人工呼吸器から患者へのガスを伝達するチューブやバルブのシステムです。
* -弁- ガスを一方通行で制御し、患者の肺にガスが入り、そこから排出されるようにします。
* -送気部- 患者にガスを送り込むコンポーネントで、通常は圧縮機と流量計を含みます。
* -モニタリングデバイス- 患者の呼吸に関する重要なパラメータ（呼吸数、潮気量、酸素飽和度など）を追跡します。

人工呼吸器は、重度の呼吸器疾患、脳卒中、外傷などのさまざまな状況下で使用されます。適切な使用により、患者の生存率を向上させ、呼吸機能を回復させるのに役立ちます。

人工呼吸器の種類

人工呼吸器の種類

人工呼吸器には、さまざまな機能や用途に対応した種類があります。主要な種類をいくつかご紹介します。

* -手動式人工呼吸器（バッグバルブマスク）-手動で空気をバッグに送り込んで肺に送り込み、手動で気道を確保します。緊急時に一時的に使用されます。
* -陽圧人工呼吸器（CPAP/BiPAP）-持続的な陽圧を気道に加えることで、肺を拡張させます。睡眠時無呼吸症候群などの治療に使用されます。
* -陽圧換気（IPPV/SIMV）-機械的に空気を肺に送ります。筋力低下や肺機能障害のある患者に長期的に使用されます。
* -陰圧人工呼吸器（鉄の肺）-患者を密閉されたチャンバー内の陰圧にすることで、肺を拡張させます。現在ではほとんど使用されていません。
* -ハイフローナザルカニューレ（HFNC）-加温加湿された空気を患者の鼻から送ります。呼吸不全や低酸素血症の補助に使用されます。

人工呼吸器を使用するタイミング

人工呼吸器を使用するタイミングは、呼吸困難や低酸素血症など、命に関わる状況に直面している場合がほとんどです。以下に、人工呼吸器の使用が検討される一般的な状況をいくつか示します。

* -呼吸停止または重度の呼吸困難- 患者さんが自発的に呼吸したり、十分な換気ができなくなっている場合。
* -低酸素血症- 血中の酸素濃度が低下し、臓器に十分な酸素が供給されなくなった場合。
* -気道閉塞- 異物や腫瘍、外傷などによって気道が塞がれている場合。
* -重篤な肺炎または肺水腫- 肺に液体が貯まり、ガス交換が妨げられている場合。
* -薬物過剰- 薬物の過剰摂取により、呼吸中枢が抑制されて呼吸が抑制されている場合。
* -外傷や手術後の低換気- 胸部外傷や手術後に、肺を十分に膨らませることができなくなっている場合。

人工呼吸器の使用上の注意点

人工呼吸器の使用上の注意点

人工呼吸器の使用においては、十分な注意が必要です。まず、適切な患者選択が不可欠です。人工呼吸器は、呼吸困難改善や肺保護に役立ちますが、長期使用には合併症のリスクが潜んでいます。そのため、人工呼吸器の装着には、挿管や気管切開などの侵襲的な処置が必要であり、患者がそれを耐えられる状態であることが大前提です。

また、人工呼吸器の使用中は、呼吸状態、酸素化、換気量を継続的にモニタリングし、患者に応じて最適な設定値を調整することが重要です。人工呼吸器は、設定が適切でなければ逆に呼吸困難を引き起こす可能性もあります。

さらに、感染予防対策にも十分な注意が必要です。人工呼吸器は、感染経路の一つとなり得るため、患者個別に専用の回路や加湿器を使用し、定期的な洗浄や交換を行う必要があります。

人工呼吸器の最新技術

人工呼吸器の最新技術は、患者の呼吸をサポートするために日々進化を続けています。従来の人工呼吸器に加えて、より高度な機能を備えた新しい技術が開発されています。これらの技術には、非侵襲的陽圧換気（NPPV）や高流量酸素療法（HFOT）などの非侵襲的換気法が含まれます。NPPVは、鼻マスクやフェイスマスクを使用して陽圧を患者の気道にかけます。HFOTは、患者の気道に加湿された高流量酸素を供給し、肺の拡張に役立てます。さらに、人工呼吸器に統合された監視システムにより、患者の状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能になり、必要なサポートレベルを調整できます。これらの最新技術により、人工呼吸器の使用はより効果的で、患者への負担を軽減できるようになっています。