胸膜癒着術とは？

胸膜癒着術とは？

胸膜癒着術とは

胸膜癒着術とは、肺と胸壁の間に異常な癒着を形成して慢性的な胸膜炎や気胸を治療する外科的処置のことです。この処置では、胸膜（肺と胸壁を覆う薄い膜）を傷つけ、癒着部位の除去や肺の拡張を促します。通常、胸腔鏡または開胸手術で行われ、癒着の程度や部位によって治療方法が異なります。

胸膜癒着術の目的

胸膜癒着術の目的は、肺や胸壁に癒着した胸膜を剥離することで、肺の拡張を回復させ、呼吸を改善することです。癒着によって肺が萎縮したり、動きが制限されたりすると、酸素の取り込みが困難になり、呼吸困難や胸痛を引き起こす可能性があります。胸膜癒着術は、癒着を剥離して肺を再び膨らませ、呼吸を容易にすることで、これらの症状を軽減または改善することを目的としています。

胸膜癒着術の適応症

-胸膜癒着術の適応症-

胸膜癒着術の適応症は、主に2種類あります。1つ目は気胸です。気胸とは、肺と胸壁の間の空間に空気が入り込むことで起こる状態です。この空気は、肺に穴が開いたり、肺の表面が破れたりすることで発生します。胸膜癒着術により、この穴や破れ目を塞ぎ、空気が漏れるのを防ぎます。

もう1つの適応症は水胸です。水胸は、胸腔（肺と胸壁の間の空間）に液体がたまることで起こる状態です。この液体が多くなると肺が圧迫され、呼吸困難を引き起こす可能性があります。胸膜癒着術では、胸腔の壁にうっ血が生じている一部を癒着させ、液体がたまるのを防ぎます。

胸膜癒着術の種類

胸膜癒着術の種類

胸膜癒着術には、さまざまな種類があります。最も一般的なのは、胸腔鏡下胸膜癒着術です。この方法では、小さな切開から胸腔鏡と呼ばれるカメラを挿入し、胸腔内の画像をモニターに映し出します。その後、胸腔内に特殊な器具を入れ、癒着している胸膜を剥がしたり切断したりして剥がします。

別の胸膜癒着術の種類としては、開胸胸膜癒着術があります。胸腔鏡下胸膜癒着術ではアクセスできない場合に使用されます。この方法は、肋骨の間に切開を入れて胸腔を開き、直接胸膜へのアプローチを行います。

さらに、レーザー胸膜癒着術という方法もあります。これは、レーザーを使用して胸膜の癒着を切除する方法です。胸腔鏡下胸膜癒着術よりも侵襲性が低く、回復時間も短くなります。

胸膜癒着術の合併症

-胸膜癒着術の合併症-

胸膜癒着術は比較的安全な処置ですが、以下のような合併症が稀に起こる可能性があります。

* -肺萎縮- 肺の一部が収縮して機能しなくなる可能性があります。
* -胸水貯留- 胸腔内に液体がたまることがあります。
* -感染- 手術部位が感染する可能性があります。
* -出血- 術中にまたは術後に出血する可能性があります。
* -肺塞栓症- 血栓が肺の動脈に詰まる可能性があります。
* -心筋梗塞- 胸膜癒着術は心臓への負担がかかるため、心筋梗塞のリスクが高まる可能性があります。
* -死亡- 重篤な合併症によって死亡する可能性は非常に低いですが、ゼロではありません。