カーンズ・セイヤー症候群とは?原因、症状、治療法を解説
医療と看護を知りたい
カーンズ・セイヤー症候群ってなんですか?
医療の研究家
眼球運動麻痺や網膜の色素変性を伴うミトコンドリア病の一種です。
医療と看護を知りたい
ミトコンドリア病ってなんですか?
医療の研究家
細胞のエネルギー供給に関連するミトコンドリアに障害が発生する病気です。
カーンズ・セイヤー症候群とは。
カーンズ・セイヤー症候群とは、眼球運動に障害が出て、網膜に色素が沈着する病気です。細胞内のエネルギー源であるミトコンドリアの異常により引き起こされるミトコンドリア病の一種です。
この病気は非常にまれで、10代に多く発症しますが、遺伝性ではありません。
主な症状としては、慢性的に進行する眼球運動障害、網膜変性、心臓の電気信号の異常があります。具体的には、まぶたが下がる眼瞼下垂、外側の眼球運動の障害、網膜の色素沈着、軽度の視力障害、心臓の房室間の電気伝導が遮断される心伝導障害などが現れます。
現時点では確立された治療法はありませんが、ビタミン剤、コエンザイムQ、L-アルギニン、ピルビン酸などが症状の軽減に用いられています。
カーンズ・セイヤー症候群の概要
カーンズ・セイヤー症候群は、遺伝性の希少疾患で、さまざまな組織や臓器に複数の腫瘍が発生するという特徴があります。この症候群は、1964年に米国医師のトーマス・カーンズとロバート・セイヤーによって最初に報告されました。カーンズ・セイヤー症候群は、常染色体優性遺伝によって遺伝し、つまり、この症候群を持った親から生まれた子供のうち、半数が遺伝する可能性があります。
原因:ミトコンドリアの変異
カーンズ・セイヤー症候群を引き起こす原因として、ミトコンドリアの変異が挙げられます。ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを産生する小器官で、この変異によってミトコンドリアが正常に機能しなくなります。この異常により、細胞が十分なエネルギーを得ることができなくなり、特に脳や筋肉などのエネルギーを大量に消費する組織で障害を引き起こします。
症状:眼球運動麻痺と網膜変性
-症状眼球運動麻痺と網膜変性-
眼球運動麻痺はカーンズ・セイヤー症候群の最も一般的な症状です。患者の眼は上下左右に動かせなくなったり、動きが遅くなったりします。左右に動かせない場合は、左右の視野が欠損する「側方視力喪失」が生じます。
もう一つの特徴的な症状は網膜変性です。網膜は眼の奥にある光を感知する組織です。カーンズ・セイヤー症候群では、網膜の細胞が次第に衰え、視力が低下します。網膜変性は進行性で、最終的には失明に至る可能性があります。
その他の症状(心臓の伝導障害など)
この症候群は、心臓の伝導障害など、他の症状も引き起こすことがあります。心臓の伝導障害とは、心臓の電気信号が正常に伝達されなくなる状態のことです。この障害により、心拍数が低下したり、不規則になったりすることがあります。また、重症の場合、心臓が停止してしまうこともあります。
治療法:確立されておらず対症療法のみ
治療法確立されておらず、現在では対症療法のみ行われています。対症療法とは、症状を抑えることを目的とした治療法のことです。例えば、痙攣発作を抑える抗てんかん薬や、精神症状を軽減する抗精神病薬などが使用されます。また、言語療法や作業療法などのリハビリテーションも有効とされています。