医療の消化器用語『鉄分』とは？

医療の消化器用語『鉄分』とは？

鉄分とは？

「鉄分」とは、体内の赤血球のヘモグロビンという成分を構成する必須ミネラルです。ヘモグロビンは酸素を全身に運搬する役割を担っており、鉄分が不足すると酸素不足（貧血）の状態を引き起こす可能性があります。

鉄分は、レバーや赤身の肉、魚介類、豆類、葉野菜などの食材に多く含まれています。また、鉄分強化食品やサプリメントでも摂取することができます。

鉄分の役割

鉄分は、体に不可欠なミネラルの一種で、ヘモグロビンやミオグロビンなどのタンパク質の構成要素として、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。ヘモグロビンは赤血球内に含まれており、酸素を肺から体の隅々まで運びます。ミオグロビンは筋肉組織に存在し、筋肉に酸素を供給します。また、鉄分は細胞のエネルギー産生や免疫機能の維持にも関与しています。

鉄欠乏症と鉄過剰症

-鉄欠乏症と鉄過剰症-

鉄欠乏症は、体内に十分な鉄分がない状態です。鉄分は赤血球のヘモグロビンを作るために不可欠であり、ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っています。そのため、鉄分が不足すると、酸素の運搬が阻害され、貧血を引き起こします。疲労、息切れ、動悸などの症状が出ることがあります。

一方、鉄過剰症は、体内に過剰な鉄分が蓄積されている状態です。鉄過剰症になると、臓器にダメージを与える可能性があります。遺伝的な疾患であるヘモグロビン症や、鉄分サプリメントの過剰摂取などが原因となることがあります。鉄過剰症では、倦怠感、関節痛、腹部不快感などの症状が出ることがあります。

鉄分摂取の推奨量と食事からの摂取方法

-鉄分摂取の推奨量と食事からの摂取方法-

人間が必要とする鉄分の推奨摂取量は、性別や年齢によって異なります。成人男性では1日あたり10mg、成人女性では15mgが推奨されています。妊娠中は必要量が増加し、1日あたり27mgの摂取が推奨されています。

鉄分は、主に動物性の食品に多く含まれています。特に赤身の肉、レバー、魚介類には豊富な鉄分が含まれています。植物性食品にも鉄分は含まれていますが、動物性食品に比べて吸収率が低くなります。しかし、ほうれん草、モロヘイヤ、納豆などの野菜や豆類にも鉄分が豊富に含まれています。

食事から鉄分を効率的に摂取するためには、ビタミンCを含む食品と組み合わせることが重要です。ビタミンCは鉄分の吸収を促進する働きがあります。また、タンパク質も鉄分の吸収を助けます。一方、タンニンやフィチン酸などの成分は鉄分の吸収を阻害します。そのため、お茶やコーヒー、麦茶などを鉄分を摂取する前後には飲まないようにしましょう。

消化器疾患と鉄分の関係

消化器疾患と鉄分の関係を見てみると、鉄分は赤血球中のヘモグロビンを構成する重要な栄養素で、消化管からの出血や吸収障害により鉄分が失われると、貧血につながります。貧血は、倦怠感、息切れ、動悸などの症状を引き起こし、消化器疾患の進行を悪化させることがあります。

例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、腸粘膜の炎症や潰瘍により腸からの出血が起こることがあります。また、セスキト固有層間リンパ腫などの悪性リンパ腫では、消化管から大量に出血することがあります。さらに、セリアック病やクローン病などの吸収障害を伴う疾患では、鉄分の吸収が阻害されて、貧血が発生することがあります。したがって、消化器疾患の治療には、鉄分補給が重要な要素となります。