虚血性大腸炎とは？症状や原因を解説

虚血性大腸炎とは？症状や原因を解説

虚血性大腸炎の原因

–虚血性大腸炎の原因–

虚血性大腸炎は、大腸の血流が低下することで起こる病気です。原因となる要因は主に以下の3つに分類されます。

* -非閉塞性虚血性大腸炎（NOAIC）-大腸の動脈に狭窄がないにもかかわらず、血流が低下するタイプです。低血圧や心不全などの全身的な要因が考えられます。
* -閉塞性虚血性大腸炎（OAC）-大腸の動脈に血栓や塞栓などの障害物があり、血流が完全に遮断されるタイプです。
* -薬剤性閉塞性虚血性大腸炎-抗炎症薬や交感神経収縮薬などの特定の薬剤の使用が原因で、大腸の動脈が収縮して血流が低下するタイプです。

虚血性大腸炎の症状

-虚血性大腸炎の症状-

虚血性大腸炎では、様々な症状が現れます。最も一般的な症状は、下腹部に起こる痛みやけいれんで、これは大腸の血流が制限されているために発生します。また、血便や粘液便などの血の混じった便が出たり、便意が頻繁に起こったりする 下痢 もよく見られます。さらに、発熱、悪寒、寒気などの全身症状が現れることもあります。症状の程度は、虚血の重症度によって異なります。

虚血性大腸炎の診断

虚血性大腸炎の診断は、患者からの病歴聴取、身体診察、そして検査に基づいて行われます。病歴聴取では、医師は患者の症状、既往歴、最近の旅行歴について質問します。身体診察では、医師は患者の腹部を触診し、圧痛や膨満感がないかどうかを確認します。また、貧血や脱水の兆候がないか、脈拍や血圧を測定します。

検査としては、血液検査、便検査、画像検査などが行われます。血液検査では、貧血や感染症の兆候を調べることができます。便検査では、血便や細菌、寄生虫などの有無を調べます。画像検査としては、X線検査やCTスキャンなどが行われ、腸の異常や腸管内の空気や液体の有無を確認することができます。

虚血性大腸炎の治療

-虚血性大腸炎の治療-

虚血性大腸炎の治療は、症状の重症度と病態によって異なります。軽度の虚血性大腸炎は保存的に治療されます。主な治療法は、絶食や抗生剤の投与です。絶食により腸管の血流が改善され、抗生剤は感染を防ぐために使用されます。

重度の虚血性大腸炎は、外科的処置が必要になる場合があります。壊死した部分の腸管を切除して、健康な部分をつなぎ合わせる手術が行われます。重度の虚血性大腸炎では、栄養状態の悪化を改善するために輸血や輸液が必要なこともあります。

また、虚血性大腸炎の再発予防のために、再発リスクを高める因子（例動脈硬化、高血圧、喫煙）の管理が重要です。医師の指示に従い、適切な食事や運動、禁煙などの生活習慣の改善を行うことで、再発リスクを軽減することができます。

虚血性大腸炎の予後

-虚血性大腸炎の予後-

虚血性大腸炎の予後は、症状の重症度、罹患した大腸の範囲、治療のタイミングによって大きく異なります。軽い症状の場合は、薬物治療や食事療法で改善しますが、重度の場合は、穿孔や腹膜炎を引き起こす可能性があります。

軽度の虚血性大腸炎は通常、数日から数週間で改善します。しかし、重度の場合は、回復に数か月かかることもあります。合併症が発生すると、予後は悪くなります。粘膜下虚血のみの場合、予後は良好ですが、筋層まで虚血が及ぶと、大腸の機能障害や狭窄を引き起こす可能性があります。穿孔を伴う場合は、緊急手術が必要となり、予後は不良になります。