直腸とは?働き、不調、疾患を解説

直腸とは?働き、不調、疾患を解説

医療と看護を知りたい

先生、『直腸』ってどんな臓器ですか?

医療の研究家

『直腸』は約20cmの大腸の末端部で、肛門に続く部分のことだよ。便が結腸から移動して一時的に蓄えられる場所なんだ。

医療と看護を知りたい

では、直腸の働きは何ですか?

医療の研究家

直腸には排便反射があって、便が移動してくると収縮して排便を促すんだよ。また、排便を我慢したい時は意識的に筋肉を収縮させて排便を防止する働きもあるんだ。

直腸とは。

-直腸-

直腸は、大腸の末端部分で、長さ約20cmです。肛門につながり、上部は腹膜に覆われています。後ろ側は仙骨と尾骨の曲線に沿ってカーブしています。

下部は3cmほどの肛門管に移行し、粘膜が歯のように重なっている境界を歯状線と呼びます。肛門管の外側には、自由に動かせない内肛門括約筋と、自由に動かすことができる外肛門括約筋があります。通常、これらは排便時以外は収縮して、便がもれないようにしています。

-直腸の働き-

結腸から送られてきた便が直腸に入ると、直腸の収縮運動(排便反射)が起こります。このとき、意識的に外肛門括約筋を緩めて排便します。便意を感じたときは、トイレに行くまで外肛門括約筋を収縮させて一時的に排便を我慢できます。また、排便に適さない場所では、外肛門括約筋をさらに強く収縮させて排便反射を抑え、便意を我慢できます。

-直腸の不調による疾患・症状-

-排便障害-

* 便秘:便の排出が少なく、硬い便やいきみに伴う便など
* 便失禁:便意を我慢できない、または無意識に便が漏れる状態

-直腸炎-

直腸に炎症が起こった状態。原因には、潰瘍性大腸炎、クローン病、感染症(赤痢、アメーバ性腸炎など)、外傷(直腸脱など)などがあります。下痢や粘血便などの症状があり、進行すると全身症状(食欲不振、体重減少、貧血など)を伴うことがあります。

-直腸脱-

直腸が肛門から脱出してくる状態。直腸粘膜のみが脱出する不完全直腸脱と、直腸全体が脱出する完全直腸脱があります。原因は、骨盤底筋の緩みや直腸の固定異常で、便秘や排便時のいきみが誘因となることが多いです。高齢の女性に多く見られます。

-直腸がん-

大腸がんの中で、直腸がんは約40%を占めます。原因は生活習慣が大きく関わっており、赤身の肉や動物性脂肪の過剰摂取、食物繊維不足、喫煙、過度の飲酒などが挙げられます。血便、腹痛、便通異常、腹部膨満感などの症状があります。早期発見・早期治療が重要で、ステージによって内視鏡手術、根治手術、化学療法などの治療法が選択されます。

直腸の働き

直腸の働き

直腸は、大腸の終点に位置し、排便を調整する重要な臓器です。大腸で水分を吸収され、固形化した便を一時的に貯蔵する役割を担っています。また、直腸は肛門括約筋と連携して、便意を感知し、適切なタイミングで排便を促しています。健康な直腸は、規則正しい排便サイクルを維持し、腸内の健康に欠かせません。

直腸の不調によって起こる疾患・症状

直腸の不調によって起こる疾患・症状

直腸の不調によって起こる疾患・症状には、さまざまなものがあります。最も一般的なのは便秘で、便が硬く排出が困難になる状態です。その他にも、下痢血便粘液便などの症状が現れることがあります。また、直腸脱などの疾患につながる場合もあります。これらの疾患は、直腸の機能が低下したり、損傷を受けたりしたことが原因で起こります。

排便障害

排便障害

-排便障害-

排便障害とは、便通の回数が少ない、便が硬い、便を出すのに時間がかかる、残便感があるなどの症状を総称したものです。原因としては、加齢による腸の蠕動運動の低下や運動不足による腸の動きが悪くなるもの、ストレスや不安などの精神的な要因、食事に食物繊維が不足しているものなどがあります。また、大腸がんなどの病気が原因となっている場合もあります。排便障害が続くと、痔核や裂肛、直腸脱などの病気を引き起こす可能性があります。そのため、排便障害が疑われる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

直腸炎

直腸炎

直腸炎とは、直腸に炎症が起こる病気です。主な原因は、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症です。また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患でも直腸炎が起こることがあります。症状としては、下痢、血便、腹痛、排便時痛などが挙げられます。重症化すると、発熱や倦怠感、体重減少につながることもあります。治療には、原因に応じた薬物療法が有効です。感染症が原因の場合は抗生物質や抗ウイルス薬などが使用されます。炎症性腸疾患が原因の場合は、抗炎症薬や免疫抑制剤が用いられます。

直腸脱

直腸脱

直腸脱とは、直腸が肛門から脱出する状態を指します。この症状は、排便時や重労働時のいきみなどで起こりやすく、高齢者や出産経験のある女性に多く見られます。直腸脱になると、脱出部が肛門から出ていたり、脱出したり引っ込んだりします。症状としては、肛門からの違和感・疼痛、排便困難、出血などが挙げられます。重症化すると、脱出部が常に外に出ているようになり、排便のコントロールができなくなることもあります。直腸脱の原因としては、直腸を支えている筋肉や靭帯の衰弱、腹圧の上昇などが考えられます。治療法としては、軽症の場合には弾性ストッキングや骨盤底筋体操などが行われます。重症の場合には、脱出部の切除や直腸を支える靭帯の強化手術を行うことがあります。

直腸がん

直腸がん

-直腸がん-

直腸がんとは、大腸の最後の約15センチメートルに発生するがんです。直腸は、便を肛門へと運ぶ役割を担っています。直腸がんには、ポリープから発症するケースと、粘膜から直接発生するケースがあります。症状としては、血便、下痢、便秘、腹痛、体重減少などが見られます。

直腸がんは、早期発見・早期治療が重要です。大腸がん検診では、便潜血検査や大腸内視鏡検査などの方法で、直腸がんの初期段階での発見を目指しています。早期発見できれば、内視鏡による切除や、外科手術による切除が可能となります。

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