B型肝炎とは?原因、症状、検査、治療を解説
医療と看護を知りたい
B型肝炎ウイルス(HBV)ってなんですか?
医療の研究家
B型肝炎を引き起こすウイルスのことです。
医療と看護を知りたい
急性肝炎と慢性肝炎の違いはなんですか?
医療の研究家
急性肝炎は短期間で発症し治癒することが多いですが、慢性肝炎は長期間にわたって持続します。
B型肝炎とは。
-B型肝炎-
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が血管や体液を通じて肝臓に感染して炎症を起こす病気です。
-疫学-
B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎に分けられます。急性肝炎の方が頻度が高く、通常、成人の場合、血管や体液から初めて感染すると急性肝炎を発症します。一方、乳幼児期に母子感染で初めて感染した場合は、免疫反応が十分ではないため、ウイルスが排除されにくく、慢性肝炎に至る可能性が高くなります。
-症状-
急性B型肝炎は、感染から1~6か月後に、全身倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐、発熱、黄疸、肝臓の腫れなどの症状が現れます。血液検査では、AST、ALT、ビリルビンの上昇やプロトロンビン時間(PT)の延長などが認められます。慢性B型肝炎は、無症状で数年~数十年経過することが多く、検診などで偶然発見されることが多いです。肝硬変に進んだ場合は、全身倦怠感などの症状や血液検査での異常が指摘されることがあります。
-診断-
B型肝炎の診断にはウイルス抗体が有効で、まずHBs抗原でスクリーニング検査が行われます。HBs抗原が陽性でIgM-HBc抗体が陽性であれば、急性肝炎と診断できます。HBe抗原が陽性であれば、肝炎の活動性が高いことを示します。経過でHBe抗原が陽性から陰性になれば、回復期に入ったことを示し、さらにHBs抗原が陰性でHBs抗体が陽性であれば、寛解と判断します。慢性B型肝炎の場合は、HBs抗原やHBe抗原が陰転せず、持続的に陽性を示します。その後、HBe抗体が陽性となり、比較的穏やかなウイルスに変化します。このウイルスが再び活動性を示すと、慢性肝炎を引き起こします。
-治療-
急性B型肝炎は、自然に治癒することが多く、保存的治療が適応になります。ただし、劇症肝炎に移行した場合は、抗ウイルス薬や血漿交換、肝移植などの適応になることがあります。慢性B型肝炎に対しては、核酸アナログ製剤やインターフェロンが適応になりますが、B型肝炎ウイルスを根本的に除去することはできません。
B型肝炎の基礎知識
B型肝炎の基礎知識
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされるウイルス性肝炎の一種です。 HBVは主に血液や体液を介して感染します。主な感染経路は、感染した血液や体液との接触、母子感染、性行為です。感染すると、無症状のままウイルスキャリアとなる場合もあれば、急性B型肝炎を発症する場合もあります。急性B型肝炎は、倦怠感、黄疸、嘔吐などの症状を伴います。さらに、慢性B型肝炎に移行することもあり、肝障害や肝がんのリスクが高まります。
B型肝炎の疫学
B型肝炎の疫学
B型肝炎ウイルス(HBV)は、世界中で広く分布しており、推定2億5,700万人が慢性感染しています。HBV感染率は地域によって大きく異なり、一部の地域では人口の最大10%が感染しているのに対し、他の地域では1%未満です。
HBV感染率は、以下を含むいくつかの要因によって異なります。
- 地域 HBV感染率は、東アジア、東南アジア、アフリカが最も高く、西ヨーロッパ、北米が最も低くなっています。
- 年齢 HBV感染は、若年層に多く見られます。
- 社会経済的地位 HBV感染率は、社会経済的地位が低い集団でより高い傾向があります。
- 注射薬物使用 注射薬物使用者は、HBV感染のリスクが非常に高くなります。
- 男性同性愛 男性同性愛者は、一般の人口よりもHBV感染のリスクが高い傾向があります。
B型肝炎の症状
B型肝炎の症状は、急性期と慢性期によって異なります。急性期では、ほとんどの場合無症状か軽度の症状で済むことが多く、30~90日ほどで自然に治癒することがほとんどです。しかし、一部の患者では慢性化することがあります。
慢性期になると、症状は肝炎の程度によって異なります。軽度の場合は、倦怠感や食欲不振などの非特異的な症状が出る程度です。中等症になると、黄疸や尿の色が濃くなるといった肝障害の症状が現れます。重症になると、肝硬変や肝臓がんにつながる可能性があります。ただし、慢性期でも症状が出ない場合もあります。そのため、定期的な検査を受けることが重要です。
B型肝炎の診断
B型肝炎の診断は、血液検査によって行われます。具体的には、HBs抗原、抗HBs抗体、HBe抗原、抗HBe抗体などのマーカーを調べます。これらのマーカーは、ウイルス感染の有無や進行状況を示します。また、肝臓の機能を評価するために、血清アミノ酸トランスフェラーゼ(ALT)や総ビリルビンなどの肝機能検査も併せて行われます。
B型肝炎の治療
-B型肝炎の治療-
B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染が原因で発症する慢性の肝疾患です。治療の目的は、肝臓の炎症を抑え、HBVの増殖を抑制し、肝不全や肝臓がんのリスクを低下させることです。
治療法は感染の進行状況や肝臓の障害の程度によって異なります。抗ウイルス薬による薬物療法が主な治療法で、ウイルスの増殖を抑え、肝障害の進行を防ぐことができます。ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ系薬剤やインターフェロンなどの薬剤が用いられます。
重症の慢性B型肝炎では、肝移植が必要になる場合があります。肝移植は、HBVに感染した肝臓を健康な肝臓に移植する手術です。ただし、肝移植は合併症のリスクが伴い、また、移植後のHBVの再発の可能性があります。
B型肝炎の治療には長期的な経過観察が必要です。定期的な血液検査や肝臓の画像検査を行い、治療効果や副作用の有無をモニタリングします。また、生活習慣の改善も重要です。過度の飲酒や喫煙を控え、バランスの良い食事を摂ることで、肝臓の負担を軽減することができます。