大動脈解離の基礎知識

大動脈解離の基礎知識

大動脈解離とは

大動脈解離とは、動脈壁が何らかの原因で裂け、それによって血液が動脈壁の間を流れ込む状態を指します。大動脈は全身に酸素を運ぶ最も重要な血管であり、解離が起きると生命の危機にさらされます。大動脈解離は、大動脈壁の損傷や弱化が原因で、動脈瘤（動脈壁の膨らみ）や、高血圧、重度の動脈硬化症、マルファン症候群などの結合組織疾患などの基礎疾患によって生じることがあります。

大動脈解離の入口部と偽腔

大動脈解離の入口部とは、正常な大動脈の内壁が裂けて血液が外に流れ出す場所のことです。この裂け目から血液が流出すると、大動脈壁の層を押し広げて、新しい腔（偽腔）が形成されます。この偽腔は、血流が滞り、血栓や破裂の危険性が高まるため、大変危険です。

大動脈解離の進展

-大動脈解離の基礎知識-

-大動脈解離の進展-

大動脈解離は進行性疾患で、時間とともに解離が拡大または新たに発生する可能性があります。解離の進展は、解離の部位、タイプ、および重症度、ならびに患者さんの全体的な健康状態によって異なります。無治療では、大動脈解離は致命的な結果につながる可能性があります。

解離の拡大は、大動脈壁内の新たな損傷を引き起こし、破裂や重篤な合併症のリスクを高めます。新しい解離は、既存の解離と異なる部位で発生する可能性があり、複雑で管理が困難になる可能性があります。また、解離が拡大または新たな解離が発生すると、大動脈に血液が十分に流れなくなったり、生命を脅かす臓器に損傷を与えたりする可能性があります。

大動脈解離の再流入と再入口部

–大動脈解離の再流入と再入口部–

大動脈解離において、再流入とは解離した大動脈のもう一方の側から破れた部分に再び血流が戻ることを指します。この現象により、解離腔内の血圧が上昇し、解離が広がるのを防ぐことができます。再流入は、解離腔の入口が狭くなったり塞がったりすることで発生します。

一方、再入口部とは、解離腔と正常な大動脈腔が再びつながる部分のことです。再入口部は通常、解離腔の入口より遠位に位置します。再入口部が形成されると、血流は解離腔から正常な大動脈腔に戻ることができます。再入口部が大きくなると、解離腔内の血圧が低下し、解離腔が縮小します。

大動脈解離の治療

大動脈解離の治療は、解離の重症度と破裂の危険性によって異なります。重度の解離や破裂の危険性が高い場合は、緊急手術が必要となります。手術では、破裂した部分の血管を縫合したり、人工血管を移植したりします。一方、軽い解離の場合は、薬物治療が行われます。この治療では、血圧を下げて解離の進行を抑制し、痛みを軽減します。また、定期的な経過観察を行い、解離の進行状況をモニターします。