医療の循環器用語『機械弁』
医療と看護を知りたい
機械弁ってどんな種類があるんですか？
医療の研究家
機械弁には、人工の材料から作られたものと、生体由来の組織から作られたものがあります。
医療と看護を知りたい
人工の材料から作られた機械弁の長所と短所は何ですか？
医療の研究家
長所は耐久性に優れていますが、短所は血栓が生じやすいので抗凝固剤を毎日服用する必要があります。
機械弁とは。
「医療用語で用いられる『人工弁』は、人工物で作られた『機械弁』と、ヒトや動物の弁組織・心膜などの生体組織で作られた『生体弁』の大きく2種類に分けられます。
『機械弁』は、炭素繊維やチタンなどの人工素材を弁の材料として用いた人工弁を指します。心臓弁膜症や先天性心疾患、感染性心内膜炎などの原因で心臓弁が狭まったり逆流したりして機能しなくなった場合、「弁形成術（弁の修理）」または「弁置換術（弁の取り換え）」が行われます。弁置換術では代用弁の選択肢として『生体弁』と『機械弁』があります。
機械弁は1960年に初めてヒトに使用され、現在は多くの機械弁が用いられています。現在は炭素繊維を素材としたものが主流で、特に可動部分である弁葉が2枚ある二葉弁が主に使用されています。弁の有効口面積が広い弁も開発されています。
機械弁には、大動脈弁（肺動脈弁としても使用）と僧帽弁（三尖弁としても使用）があり、患者に合ったサイズのものを選んで弁置換術が行われます。
■機械弁の長所と短所
長所：
・耐久性に優れています。
短所：
・血栓が発生しやすく、毎日抗凝固薬（ワルファリンなど）を服用する抗凝固療法が必要です。
■合併症・人工弁機能不全
・血栓による弁の開閉障害により、弁狭窄や逆流が発生し、それに伴う心不全が起こります。
・抗凝固薬を服用していても100％血栓を防ぐことはできません。まれに、血栓が血液の流れに乗って身体の各部位に詰まり、脳梗塞や四肢の急性動脈閉塞、急性上腸間膜動脈閉塞などの重篤な塞栓症を引き起こします。また、人工弁に血栓が付着して弁機能不全が発生することもあります。
・抗凝固薬の影響により、出血しても止まりにくくなり、脳出血や消化器癌などの出血性疾患が重篤化する場合があります。
・人工弁感染
人工弁に細菌や真菌が感染して、感染性心内膜炎を引き起こします。生体弁でも起こりえます。抗生物質の点滴治療で改善することはまれで、多くの場合、人工弁の弁輪部分から感染が周囲に広がり、周囲組織の破壊や人工弁の脱落など重篤な状態になり、再手術が必要になります。」
機械弁とは
-機械弁とは-
医療用語における「機械弁」とは、心臓弁膜症に罹った場合に、傷んだ心臓弁を置き換えるために用いられる人工弁のことを指します。機械弁は、弾力性のある弁弁とそれを支える構造物から構成されています。
機械弁の種類
機械弁の種類
機械弁は、その設計と機能に基づいて、主に次の3種類に分類されます。
* -球弁- 球形の弁が血液の流れを制御するタイプで、耐久性に優れ、長期間使用できます。
* -チルト盤弁- 弁がチルトして血液の流れを遮断するタイプで、球弁よりも耐久性が劣りますが、より自然な血流を確保できます。
* -バイプレーン弁- 2つの平面弁を重ねた構造で、高い耐久性と自然な血流を兼ね備えています。しかし、サイズは大きくなります。
機械弁の適応
機械弁の適応
機械弁は、何らかの理由により心臓の弁が損傷または機能不全に陥った場合に使用されます。具体的には、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症などの疾患が該当します。これらの疾患では、弁が適切に閉じたり開いたりできず、心臓の機能に影響を及ぼします。機械弁は、機能不全な弁を置き換え、正常な血流を回復させます。
機械弁の長所と短所
-機械弁の長所と短所-
機械弁は、自然弁を置換する人工弁の一種です。従来の生体弁と異なり、機械弁は金属やプラスチックなどの非生物学的材料で作られています。そのため、以下の利点があります。
* -耐久性が高い- 機械弁は生体弁よりも耐久性が高く、一般的に15～25年以上使用できます。
* -血栓形成のリスクが低い- 機械弁の表面は滑らかで、血栓が形成されるリスクが低くなります。
* -弁逆流が少ない- 機械弁は閉じたときにしっかりと閉まり、弁逆流のリスクが低くなります。
ただし、機械弁には次のような短所もあります。
* -抗凝固療法が必要- 機械弁に血栓が形成されないように、生涯抗凝固薬を服用する必要があります。これは出血のリスクを高めます。
* -感染のリスク- 機械弁は感染に対して脆弱で、感染が命に関わる結果を招く可能性があります。
* -機械的ノイズ- 機械弁は、操作時に「クリック音」などの機械的ノイズを発することがあります。
機械弁の手術に関する合併症
機械弁の手術に関する合併症
機械弁置換術は、心不全や弁膜症を患う患者にとって重要な治療法ですが、他の外科手術同様、合併症のリスクを伴います。最も一般的な合併症は、血栓塞栓症、出血、感染症です。血栓塞栓症は、機械弁表面に血栓が形成され、脳や他の臓器に塞栓して深刻な障害を引き起こす場合があります。出血は、手術中に傷ついた血管から、または抗凝固薬（血栓予防薬）の服用によって起こります。感染症は、傷口や人工弁自体に細菌が侵入することで発生し、敗血症や人工弁感染性心内膜炎につながる可能性があります。