動脈管とは?胎児期に存在する重要な血管
医療と看護を知りたい
動脈管とは、胎児期に肺動脈と大動脈をつなぐ血管のことですか?
医療の研究家
その通りです。動脈管は胎児が母親から酸素を受け取るために肺をバイパスするためのものです。
医療と看護を知りたい
ボタロー管とも呼ばれるのですね。
医療の研究家
はい、ボタロー管という名前は、この構造を発見したフランスの医師、アルテュール・ボタローに由来しています。
動脈管とは。
医療で循環器に関する用語として、「動脈管」があります。動脈管とは、胎児の時に肺動脈と大動脈を結ぶ血管のことです。別名で「ボタロー管」とも呼ばれます。
動脈管とは何か?
動脈管とは、胎児期に機能する重要な血管で、母親から受け取った栄養を胎児の肺以外の身体各部へ送る役割を担っています。肺はまだ機能していないため、胎児は酸素を肺からではなく、母親とのへその緒のつながりを通じて受け取っています。そのため、動脈管は胎児にとって必須の血管なのです。
動脈管の機能
動脈管の機能は、胎児期に極めて重要です。この血管は、母親から供給される血液を胎児の肺や心臓の右心房ではなく、直接大動脈に送ります。これにより、胎児は肺を迂回して呼吸を行うことができます。また、動脈管は、胎児の低酸素状態を維持するのにも役立ちます。これは、胎児が子宮の中で呼吸をせず、母親の血液中の酸素に依存しているためです。
動脈管の閉鎖
動脈管の閉鎖は、胎児期における動脈管の重要な役割を終えた後に起こる生後まもなくの重要なプロセスです。胎児期には、動脈管は胎児の肺を迂回させ、酸素化した血液を大動脈から肺動脈へと導く役割を果たします。しかし、生後、肺が機能し始めるのに伴い、動脈管の役割は終わりを迎えます。
動脈管の閉鎖は、プロスタグランジンという物質の減少によって誘発されます。プロスタグランジンは動脈管の収縮を防ぐ働きがありますが、生後まもなくプロスタグランジンの濃度が低下すると、動脈管は自然に収縮し始めます。この収縮は通常、生後24~72時間の間に完了し、動脈管は永久的に閉鎖されます。
動脈管開存症
動脈管開存症とは、胎児期に閉鎖するはずの動脈管が、出生後も開いたままになる病気です。これにより、酸素を含んだ血液が肺へ行かずに、再び心臓に戻ってしまいます。その結果、心臓に負担がかかり、心不全を引き起こす可能性があります。動脈管開存症は新生児の約5%に発生し、早産児ではより多く見られます。軽度の場合は無症状ですが、重度の場合は呼吸困難、チアノーゼ(皮膚や粘膜の青色)、体重増加不良などの症状が現れます。治療には、薬物療法またはカテーテルを使用した経皮的動脈管閉鎖術(PDA)が行われます。
動脈管の治療
-動脈管の治療-
胎児期には必須の血管である動脈管が、出産後も閉鎖せずに残存してしまうと、動脈管開存症と呼ばれる病態となります。この動脈管開存症は、肺動脈に過剰な血流が流れ込み、心不全や肺血管疾患を引き起こす可能性があります。そのため、動脈管の治療が必要になります。
動脈管の治療法としては、主に以下のようなものが挙げられます。
* 薬物療法 プロスタグランジン阻害剤などの薬を投与し、動脈管の収縮を促します。
* カテーテル治療 細いカテーテルを心臓から動脈管に挿入し、コイルやプラグを留置して動脈管を閉塞します。
* 外科的治療 胸部を切開して動脈管を直接結紮または切除します。