HLAとは？主要組織適合遺伝子複合体について
医療と看護を知りたい
先生、「HLA」について教えてください。
医療の研究家
HLA（ヒト白血球抗原）は、人間の免疫システムに関わる主要な組織適合遺伝子複合体（MHC）です。第6染色体にある遺伝子によって決定されます。
医療と看護を知りたい
「免疫システム」とは何ですか？
医療の研究家
免疫システムは、体外から侵入する細菌やウイルスなどの異物を排除する体の防御機構です。HLAは、免疫細胞が自己と非自己を区別するのに役立ちます。
HLAとは。
ヒトの医療検査や診断でよく使われる「HLA」という用語があります。HLA（ヒト白血球抗原）とは、ヒトの体の防御システムに関わる「主要組織適合遺伝子複合体（MHC）」のことです。この遺伝子は第6染色体上にあり、1954年に白血球の血液型として発見されました。その後、ほとんどすべての細胞で発現していることがわかりました。
HLAとは？
HLA（Human Leukocyte Antigen）は、人体における主要組織適合遺伝子複合体（MHC）と呼ばれる遺伝子群の主要な構成要素です。MHCは、自己と非自己を識別する役割を担い、免疫系の反応を制御しています。HLAは白血球の表面に発現しており、個体間の遺伝的多様性を反映しています。この遺伝的多様性は、移植や輸血の際の適合性を決定する上で重要な役割を果たしています。
HLAの発見と歴史
HLA（ヒト白血球抗原）の発見と歴史は、移植医療の進歩に重要な役割を果たしました。HLAは、1958年に、血液輸血を受けた患者で、免疫系の拒絶反応が発生することが原因で死亡したことがきっかけで発見されました。この現象を調査した結果、個人の免疫応答を制御する遺伝子が、白血球の表面にあることがわかりました。この遺伝子群は、主要組織適合遺伝子複合体（MHC）と呼ばれ、HLAはMHCの一部を構成する遺伝子です。HLAの発見により、移植における適合性の評価が可能となり、拒絶反応の防止に役立てられるようになりました。
HLAの構造と機能
-HLAの構造と機能-
HLA（ヒト白血球抗原）遺伝子複合体は、6番染色体上にある一群の遺伝子で、免疫システムの主な役割を担っています。HLAは、体内の自己と非自己を識別することで免疫応答を制御しています。
HLA分子は、細胞表面に提示されるタンパク質の一種です。これらの分子には2種類あり、クラスIとクラスIIに分けられます。クラスI HLA分子は、すべての核のある細胞に存在し、細胞内で合成されたタンパク質の一部を提示します。これにより、免疫細胞が異常な細胞やウイルスに感染した細胞を認識することができます。
一方、クラスII HLA分子は、免疫系の抗原提示細胞（APC）にのみ存在し、外来タンパク質を提示します。これにより、APCが抗原特異的なT細胞を活性化でき、適応免疫応答が開始されます。
HLAと免疫系
HLA（ヒト白血球抗原）は、免疫系が自己と非自己を区別するための重要な役割を果たす主要組織適合遺伝子複合体です。HLAは、細胞表面に存在するタンパク質で、免疫細胞が他の細胞を識別して攻撃するかどうかを決定する役割を持っています。
HLAは、自己の細胞が持つHLAタンパク質を認識し、攻撃しません。一方、非自己の細胞が持つHLAタンパク質が異なる場合には、免疫細胞が攻撃します。この仕組みにより、免疫系は外敵から身体を守る一方、自己の細胞を攻撃する自己免疫疾患を防ぐことができます。
HLAと臓器移植
-HLAと臓器移植-
臓器移植では、ヒト白血球抗原（HLA）の適合性が極めて重要です。HLAは、細胞表面に存在するタンパク質で、免疫系が自己と非自己を区別するために使用します。もし移植臓器のHLAが受容者のHLAと一致しなければ、受容者の免疫系は移植臓器を異物と認識して攻撃します。この攻撃を拒絶反応と呼び、移植臓器の機能不全につながります。
そのため、臓器移植では、HLAがなるべく適合しているドナーから臓器を移植することが求められます。適合性の高いドナーを見つけるために、HLAタイピング検査が行われます。HLAタイピング検査では、受容者とドナーのHLAを比較し、適合性を評価します。HLAが完全に一致しているドナーが見つからない場合は、部分的に一致しているドナーから移植が行われることもあります。ただし、部分的に一致していると拒絶反応のリスクが高まるため、免疫抑制剤などの薬物を使用し、免疫系の攻撃を抑える必要があります。