医療機器の基礎知識『陰圧室』

医療機器の基礎知識『陰圧室』

陰圧室とは？

陰圧室とは、空気中の微生物や粒子を閉じ込め、密閉された環境を維持するために設計された、換気システムを備えた特殊な部屋です。このシステムは、空気の流れを調整することで、部屋の圧力を周囲の圧力よりも低く保ちます。この負圧差によって、空気中の汚染物質が部屋の外に排出され、内部の無菌性が維持されます。陰圧室は、感染症の蔓延を防ぎ、科学的研究や医療処置を行う安全な環境を提供するために使用されます。

陰圧室の目的

医療機器の基礎知識『陰圧室』

陰圧室は、さまざまな医療の場面で使用される重要な医療機器です。その名の通り、室内を周囲よりも低い気圧にすることで、病原体が外部に漏れ出すことを防ぐ「陰圧」状態を作り出します。

陰圧室の必要性

-陰圧室の必要性-

医療施設における感染制御の重要な側面のひとつが、陰圧室の設置です。陰圧室とは、室内の気圧を外部よりも低く設定した空間のことです。これにより、室内の汚染された空気が外部に漏れるのを防ぎます。

陰圧室は、感染性の呼吸器疾患の患者や、傷の感染のリスクが高い患者が隔離される際に使用されます。これらの疾患は、患者から飛沫やエアロゾルを介して空気中に放出され、医療従事者や他の患者に感染する可能性があります。陰圧室は、これらの病原体の拡散を制御し、感染拡大を防ぐ重要な役割を果たします。

また、陰圧室は、汚染された物を扱う際にも使用されます。例えば、汚染された医療廃棄物や、病理標本を扱う検査室などです。陰圧室は、これらの汚染物質が外部に漏れるのを防ぎ、医療従事者や一般の人々の曝露を低減します。

陰圧室の使用例

陰圧室の使用例とは、特定の医療行為や用途に応じて、陰圧室が利用される場面を指します。代表的な使用例を以下に示します。

* -外科処置-感染症のある患者の手術など、空気感染を予防する必要がある処置では、陰圧室が使用されます。これは、空気中の微生物が周囲環境に拡散するのを防ぐのに役立ちます。
* -感染症の隔離-結核や麻疹などの空気感染する疾患にかかった患者は、感染を拡散させないために陰圧室に隔離されます。これにより、医療従事者や他の患者が感染するリスクを低減できます。
* -薬剤調合-一部の種類の薬剤（抗ガン剤など）は、調合中に有害な蒸気を発生させることがあります。陰圧室は、これらの蒸気が周囲環境に拡散するのを防ぎ、医療従事者の安全を確保するために利用されます。
* -動物研究-免疫不全マウスなどの小動物を飼育する際、陰圧室は病原体の侵入を防ぐために使用されます。これにより、研究の信頼性と動物の健康が維持されます。

陰圧室の設置場所

陰圧室の設置場所は、その目的や機能によって異なります。医療機関では、主に感染制御を目的とした陰圧室が設置されています。感染症患者を隔離し、感染の拡大を防ぐために、病院の感染制御区域に設置されることが一般的です。

また、研究施設や大学病院では、無菌操作や細胞培養を行うためのバイオセーフティレベル（BSL）を確保した陰圧室が設置されています。これらの施設では、クリーンルームや実験室が陰圧室として使用されることが多くあります。