梅毒検査法『STS』とは?症状や治療法も解説
医療と看護を知りたい
「STS」とは何の略ですか?
医療の研究家
STSは、「Serologic Test for Syphilis」の略です。
医療と看護を知りたい
STS法では、何を用いて梅毒感染を診断するんですか?
医療の研究家
カルジオピリンやレシチンなどの脂質抗原を用いて診断します。
STSとは。
医療用語「STS(えすてぃーえす)」は、梅毒の検査法のひとつです。STS(血清梅毒検査)は、カルジオピリンやレシチンなどのリン脂質を反応物質とする検査法で、感染の有無を調べます。別名で「脂質抗原法」とも呼ばれます。
STS検査の方法と仕組み
STS検査は、梅毒の血清学的検査です。血液サンプル中に存在する梅毒トレポネーマの抗体を検出します。この検査では、患者さんの血液サンプルをさまざまな量のカルジオリピン(心臓から抽出される脂質)を含む複数のテスト管に加えます。カルジオリピンは、梅毒トレポネーマの表面抗原と類似しており、抗体が存在すると結合します。その後、コレステロールをテスト管に加えて、抗体とカルジオリピンの複合体に結合させます。混濁度が高いほど、抗体の濃度が高くなります。
STS検査の感度と特異度
STS検査の感度と特異度は、検査の信頼性を評価する重要な指標です。感度は、実際に梅毒感染している人の中で、検査で陽性と判定された人の割合を示します。特異度は、実際は梅毒感染していない人の中で、検査で陰性と判定された人の割合を示します。
感度が高い検査は、梅毒感染を確実に検出できますが、特異度が低いと、梅毒感染していない人も陽性と判定される可能性があります。逆に、感度が低くても特異度が高い検査は、梅毒感染していない人を正確に判定できますが、梅毒感染している人を検出できない可能性があります。
STS検査の感度は約70~90%で、特異度は約95~99%です。つまり、STS検査は、梅毒感染していない人をほぼ確実に判定できますが、梅毒感染していても陰性と判定される可能性が10~30%あります。このため、STS検査で陰性と判定された場合は、他の検査で再確認することが推奨されています。
STS検査で陽性反応が出た場合の対処法
STS検査で陽性反応が出た場合、速やかに医療機関を受診することが重要です。梅毒は早期発見・早期治療が鍵となります。治療は抗菌薬の投与により行われますが、感染の時期によって治療の内容が異なります。早期の感染であればペニシリン系の抗菌薬の内服で治療可能です。しかし、感染が長期間経過している場合は、免疫グロブリンを投与するなど、より長期的な治療が必要になる場合もあります。また、性パートナーにも感染の可能性があるため、医師の指示に従って性器コンタクトの禁止や検査・治療を依頼することも大切です。梅毒の適切な治療を受けなければ、重篤な健康被害につながる可能性があるため、早急な受診と治療の開始が不可欠です。
STS検査の注意点
STS検査には注意点があります。この検査は梅毒の抗体を検出するため、感染初期では結果が陰性になる場合があります。そのため、感染の可能性がある場合は、数週間後に再検査を受けることが推奨されます。また、他の感染症や自己免疫疾患でもSTS検査で陽性反応が出る可能性があります。そのため、検査結果を解釈する際には、病歴やその他の検査結果も考慮することが重要です。
その他の梅毒検査法
その他の梅毒検査法として、次のようなものがあります。
* -非トレポネーマテスト (NST)- 抗体の有無を調べる検査で、STS 検査と同様です。ただし、NST 検査の方が結果が出るのが早く、安価です。
* -トレポネーマテスト (TT)- 原因菌である梅毒トレポネーマを直接検出する検査です。NST 検査よりも感度が高く、過去の感染を調べるのにも役立ちます。
* -PCR 検査- 梅毒トレポネーマの DNA を検出する検査で、感染初期でも高い感度を誇ります。
* -暗視野顕微鏡検査- 感染部位から採取した検体を顕微鏡で観察し、トレポネーマを探す検査です。感染初期に有効です。