ワイル・フェリックス反応とは？リケッチア感染症のスクリーニング検査
医療と看護を知りたい
「ワイル・フェリックス反応」ってどんな検査ですか？
医療の研究家
「ワイル・フェリックス反応」は、リケッチア感染症を調べる検査だよ。リケッチアという細菌が感染すると、血液中に凝集素という物質ができるんだ。
医療と看護を知りたい
凝集素ってなんですか？
医療の研究家
凝集素は、細菌を固めて塊にする物質だよ。この検査では、患者の血液にプロテウス属という細菌を加えて、凝集反応が起きるか調べるんだ。反応があれば、リケッチア感染症の可能性があるよ。
ワイル・フェリックス反応とは。
「ワイル・フェリックス反応」という医療用語は、感染症のスクリーニング検査で使用されます。リケッチア感染症の患者さんの血液中には、特定のバクテリア（プロテウス菌）に対する凝固物質が含まれています。この性質を利用して、凝固反応の有無でリケッチア感染症を診断する検査が開発されました。この検査は、開発者であるオーストリアの医師ワイルとイギリスの細菌学者フェリックスの名前に由来しています。
ワイル・フェリックス反応の仕組み
ワイル・フェリックス反応の仕組み
ワイル・フェリックス反応は、リケッチア感染症のスクリーニングに使用される血清学的検査です。この検査では、感作されていない患者血清が、プロテウス属の特定の菌株に対する凝集反応を示すかどうかを調べます。
この反応の仕組みは、リケッチアとプロテウス属菌株の細胞壁抗原に交差反応性があることに基づいています。リケッチアに感染すると、患者はプロテウス属菌株抗原に対する抗体を産生します。これらの抗体は、感染していない患者血清では凝集反応を示しませんが、プロテウス属菌株に感作された血清では、これらの抗原にくっついて凝集塊を形成します。
ワイル・フェリックス反応は、さまざまなリケッチア感染症のスクリーニングに用いられます。例としては、発疹チフス、回帰熱、ツツガムシ病などがあります。
検査の手順
ワイル・フェリックス反応の検査手順は比較的簡単です。まず、患者さんの血液を採取します。その後、それを特定のリケッチア菌株で処理します。反応が陽性の場合、患者さんの血液中にはリケッチアに対する抗体があることを示します。抗体は感染に対する免疫応答として生成されるタンパク質です。この反応は、リケッチア感染症のスクリーニング検査として広く使用されています。
反応の解釈
-反応の解釈-
ワイル・フェリックス反応の結果を解釈する際には、対照群との比較が重要です。対照群は、リケッチアに感染していない個体から採取した血清で、通常の反応値を示します。
患者血清の凝集価が対照群の4倍以上高い場合、リケッチア感染症が強く疑われます。しかし、32倍以下の凝集価では、感染症の存在を否定できません。
また、急性期と回復期で凝集価に差があることも考慮する必要があります。急性期には凝集価が高く、回復期には低下します。したがって、急性期の血清検体と回復期の血清検体を比較することで、感染の進捗状況を評価できます。
感度と特異度
感度と特異度が高い検査であるワイル・フェリックス反応は、リケッチア感染症のスクリーニングに有効です。感度は、感染症患者の中で検査で陽性と判定される人の割合、特異度は、非感染症患者の中で検査で陰性と判定される人の割合を表します。つまり、感度が高い検査では見逃しが少なく、特異度が高い検査では偽陽性が少ないということです。ワイル・フェリックス反応は、リケッチア感染症の診断を確定するものではありませんが、感染の可能性を示唆するため、初期のスクリーニングツールとして有用です。
臨床での応用
臨床での応用
ワイル・フェリックス反応は、臨床現場でリケッチア感染症のスクリーニング検査として広く活用されています。プロテウス菌のOX-19、OX-2、OX-K抗原が、リケッチア感染症の患者血清中に存在する抗体と反応し、凝集現象を示すことに基づいています。この凝集反応は、感染症の早期診断や、罹患する可能性のある特定のリケッチア種を絞り込むのに役立ちます。ワイル・フェリックス反応は比較的安価で簡単に実施できるため、限られた医療資源を有する地域でも広く使用されています。