重症筋無力症の基礎知識
医療と看護を知りたい
重症筋無力症について詳しく教えてください。
医療の研究家
重症筋無力症は、骨格筋に異常が起こり、疲れやすくなってしまう疾患です。
医療と看護を知りたい
なぜ骨格筋に異常が起こるのでしょうか?
医療の研究家
運動神経と骨格筋の接合部に自己抗体が存在し、神経伝達物質の働きを妨げてしまうからです。
重症筋無力症とは。
筋肉に無力感や疲労が現れる「重症筋無力症」という病気があります。筋肉を動かす神経と筋肉が接する部分にあるアセチルコリン受容体というタンパク質に自己抗体ができてしまい、筋肉を動かす信号が筋肉にうまく伝わらないことで起こります。目の下のたるみや複視(ものが二重に見える)などの症状から始まることが多く、難病に指定されています。
重症筋無力症とは
重症筋無力症とは、神経と筋肉の連結部に問題が生じ、筋肉が十分に動かなくなる神経筋疾患です。この連結部は神経筋接合部と呼ばれ、神経から筋肉に運動指令を伝える大事な役割を担っています。重症筋無力症では、この神経筋接合部に変調をきたし、神経から筋肉への指令が正常に伝わらないため、筋肉の動きが弱くなったり、麻痺したりします。全身のさまざまな筋肉に影響が出る可能性があり、目を開けにくくなったり、物を飲み込みにくくなったり、歩行が困難になったりするなど、運動障害を引き起こします。
成因と仕組み
-成因と仕組み-
重症筋無力症は、神経と筋肉の接合部に異常が生じる自己免疫疾患です。通常、神経から筋肉に電気信号が伝達され、筋肉は収縮します。しかし、重症筋無力症では、免疫系の異常で抗体が産生され、筋肉の受容体に結合します。この抗体は、筋肉が正常に電気信号を受け取るのを妨げ、筋肉の収縮力が低下します。結果として、筋肉が十分に働かなくなることで、特徴的な症状が現れます。
症状
-症状-
重症筋無力症の主な症状は、筋肉の脱力です。この脱力は、筋肉を動かすときに起こるもので、特に眼周辺の顔面筋、嚥下や呼吸に関わる筋肉、四肢の筋肉などに現れます。
症状は、時間が経つにつれて進行することが多く、朝は症状が軽くても、夕方になると重くなるのが特徴です。また、暑さや疲労、感染症などがきっかけで症状が悪化することもあります。
診断と治療
-診断と治療-
重症筋無力症の診断は、病歴、身体診察、および血液検査を組み合わせて行われます。血液検査では、筋肉に結合する抗体が存在するかどうかを調べます。確定診断は、筋肉生検により行われ、顕微鏡下で特徴的な所見を調べます。
治療には、抗コリンエステラーゼ薬と呼ばれる筋肉の機能を高める薬物などが用いられます。免疫抑制薬は、抗体を産生する免疫系を抑制するために使用されます。血漿交換療法は、抗体を血液から取り除くために使用される場合があります。重症の場合は、ステロイド療法が行われることもあります。
生活上の注意点
-生活上の注意点-
重症筋無力症の患者さんは、日常生活中で注意すべき点がいくつかあります。まず、過労や強いストレスを避けることが重要です。これらの要因は症状を悪化させる可能性があるためです。また、極端な寒さや暑さに長時間さらされることも控える必要があります。さらに、免疫力を向上させるためにバランスの取れた食事を摂ることや、十分な睡眠を取ることも大切です。禁煙も症状を改善する上で効果的と言われています。さらに、場合によっては薬物の服用や理学療法などの治療が必要になることもあります。