『ファウラー位』の基礎知識と目的
医療と看護を知りたい
『ファウラー位』という言葉の意味を教えてください。
医療の研究家
仰臥位で下肢を水平にしたまま上半身を45度程度上げた半座位のことです。
医療と看護を知りたい
その体位にする目的は何ですか?
医療の研究家
腹部手術後のドレナージ促進や呼吸機能の改善、体位ドレナージ、経管栄養時の逆流防止などです。
ファウラー位とは。
看護領域で「ファウラー位」と呼ばれる体位があります。仰向けに寝た状態で、足を水平に伸ばし、上体を45度ほど起こした半座りの状態です。90度に起こした場合は「座位」、15～30度の場合には「セミファウラー位」と呼ばれています。
この姿勢は、そのままでは身体がずり落ちてしまうため、上体を起こす前に軽く足を上げます。
ファウラー位の目的は、もともと腹部の手術後に排液を促すことでしたが、腹部臓器が肺を圧迫するのを軽減することから、呼吸機能の改善や体位ドレナージ、経管栄養時の逆流を防ぐ目的にも使用されています。
ただし、長時間同じ位置（坐骨結節など）に圧力がかかると褥瘡（床ずれ）ができる可能性があるため、適宜体位を変えて分散させます。麻痺がある場合は、時間が経つと身体が傾いてくるので、バスタオルなどで支えます。
基本的には2時間おきに体位変換を行いますが、患者の病状や骨の突出具合によって異なります。褥瘡が発生しやすい患者には、予防的に体圧分散器具を使用します。
脳梗塞の急性期や骨盤骨折、椎体骨折など、特別な理由でベッドを高くできない場合を除き、ファウラー位以上の姿勢を保つと、仰向けに寝ている場合と比べて離床につながり、人工呼吸器を使用している患者では人工呼吸器関連肺炎の頻度が減少します。
ファウラー位の定義と種類
-ファウラー位の定義と種類-
ファウラー位とは、女性が分娩時にとる姿勢のことです。この姿勢は、産科医のアルフレッド・ファウラーによって考案されました。ファウラー位は、主に産婦の快適性と分娩の円滑化を目的としています。
ファウラー位には、いくつかの種類があります。
* -半ファウラー位- 頭部を30度ほど上げた座位
* -高ファウラー位- 頭部を60度ほど上げた座位
* -正座位- 両膝を立てて座った姿勢
それぞれの種類に適した状況があります。例えば、半ファウラー位は、陣痛の緩和や子宮頸部の拡大を促進する場合に使われます。高ファウラー位は、帝王切開後の回復や膀胱圧迫時の不快感を軽減するために使用されます。正座位は、分娩の進行を促進し、会陰部の裂傷を防ぐのに役立ちます。
ファウラー位の目的と効果
-ファウラー位の目的と効果-
ファウラー位の主な目的は、子宮頸部と膣を露出させることです。これにより、医師は子宮頸部の検査や処置をより容易かつ効果的に行うことができます。
ファウラー位は、子宮頸部の観察やパップテスト、コルポスコピーなどの診断検査の実施に役立ちます。また、子宮頸部の手術や処置、たとえばバイオプシーやループ電気切除術（LEEP）などにも使用されます。
ファウラー位によって、子宮頸部をより明確に観察できるため、医師は異常や病気の兆候をより早期かつ正確に発見できます。このため、ファウラー位は子宮頸部疾患の予防と早期発見に不可欠なツールとなっています。
ファウラー位の注意点
-ファウラー位の注意点-
ファウラー位を行う際には、いくつかの注意点があります。まず、ベッドを完全に水平にしないことが大切です。約30～45度ほど頭側に傾斜させることで、呼吸が楽になり、誤嚥を防ぐ効果があります。また、足が床につかないよう注意膝を90度以上曲げないようにすることも大事です。膝を深く曲げると、膝裏の動脈が圧迫されて血流が悪くなります。また、長時間同じ姿勢をとり続けないことも重要です。定期的に姿勢を変え、圧迫を軽減することが必要になります。
ファウラー位と褥瘡予防
褥瘡の予防においても、ファウラー位は重要な役割を果たします。褥瘡は、長時間の同じ姿勢を保つことで体の特定の部分に圧力がかかって発生する皮膚の損傷です。ファウラー位では、患者の上半身をベッドのヘッドボード側に少し起こすことで、体にかかる圧力を軽減し、褥瘡のリスクを低減できます。前述したように、ファウラー位はさまざまな重症度の患者に適しており、褥瘡予防のための効果的な手段とされています。
ファウラー位と体位変換
ファウラー位と体位変換とは、患者を斜めに起こした位置にする体位のことです。この体位は、呼吸や循環を改善し、体圧を分散させるために使用されます。ファウラー位は、頭部を30～45度挙上して行われますが、ベッドの背もたれで調整することができます。
体位変換は、褥瘡や吸入性肺炎などの合併症を予防するために重要です。ファウラー位は、患者を定期的に他の体位に変えることで、体にかかる圧力を分散させます。また、この体位は、肺炎の予防にも役立ちます。斜めに起こした位置にすることで、肺の拡張性が高まり、分泌物が排出されやすくなります。