医療の吸引技術と用語

医療の吸引技術と用語

吸引とは

– 吸引とは-

吸引とは、陰圧を利用して体内の液体や気体を外部に取り出す医療処置です。医療現場では、様々な吸引器具や技術が用いられており、患者さんの状態や施術目的に応じて適切な方法を選択しています。吸引は、気道から分泌物を取り除く気道吸引、傷口や手術部位から体液や血液を吸引する創傷吸引、胃腸管から内容物を吸引する胃腸管吸引など、幅広い目的に使用されています。

吸引の目的

吸引の目的とは、医療において特定の目的を達成するためのプロセスです。主な目的を以下に示します。

* 気道確保鼻腔や咽頭から分泌物や異物を排除し、空気の通り道を確保します。
* 創傷洗浄手術や外傷後の創傷から血液や組織片を除去し、感染リスクを軽減します。
* 異物除去異物が気道や消化管に入ってしまった場合、安全に取り除きます。
* 分泌物吸引気道や肺から過剰な粘液や分泌物を除去し、呼吸を改善します。
* 胃内容吸引手術前に胃の内容物を除去したり、中毒患者から毒物を除去したりします。

吸引の手法

吸引の手法には、掃除機のような機械を使用する「乾式吸引」と、液体で吸引する「湿式吸引」の2種類があります。乾式吸引は、創傷や鼻腔などの乾燥した部位から分泌物や異物を取り除くのに適しています。一方、湿式吸引は、気管支や肺などの湿潤した部位から分泌物や異物を除去するために使用されます。この手法は、気道が塞がった患者の呼吸を助けるために使用されることもあります。

吸引の注意点

-吸引の注意点-

吸引を実施する際には、適切な吸引圧の調整が重要です。吸引圧が強すぎると、組織を傷つけたり、出血を招いたりする可能性があります。逆に、吸引圧が弱すぎると、十分な吸引効果が得られない場合があります。また、吸引時間にも配慮が必要です。長時間吸引を行うと、組織が損傷するおそれがあります。さらに、吸引の際には、吸引チップを適切に保持することが重要です。吸引チップを直角に構えることで、効果的な吸引が行えますが、斜めに構えると吸引効果が低下します。吸引チップが患部に密着していることも確認しましょう。吸引チップと患部の間に隙間があると、エア漏れが生じて吸引効率が低下します。

吸引の適応と禁忌

-吸引の適応と禁忌-

吸引技術は、さまざまな医療的状況で適用できます。呼吸器分泌物の除去が主な目的ですが、胃や腸から液体を排除するのにも使用されます。また、創傷の洗浄や、手術中の外科医の視野を確保するためにも使用されています。

ただし、吸引には禁忌もあります。鼻出血、鼓膜穿孔、脳脊髄液漏出がある患者には、吸引は避ける必要があります。これらの状態では、吸引が状況を悪化させる可能性があります。さらに、鼻腔の腫脹や解剖学的変異がある患者では、吸引が困難または不可能になる場合があります。