医療法人制度の基礎知識
医療と看護を知りたい
医療法人について教えてください。
医療の研究家
医療法人とは医療サービスを提供するため、医療法に基づいて設立される法人のことです。
医療と看護を知りたい
医療法人になることで個人事業としてクリニックを運営する場合と比べて、何が異なるのですか?
医療の研究家
主な違いは、診療報酬の受け取り方法と税金面です。医療法人になると、診療報酬は一度法人に入り、役員報酬として支払われます。また、給与所得控除を受けられ、相続税が免除されるなどのメリットがありますが、監査が厳しくなるなどのデメリットもあります。
医療法人とは。
医療に関する組織形態のひとつである「医療法人」とは、病院やクリニック、介護施設などを運営するために設立される法人です。1950年に制度化され、医療行為を行う施設として開設されています。
都道府県知事の認可を得て設立し、医療審議会の判断も必要となります。以前は厚生労働大臣が行っていた、複数の都道府県にまたがって施設を運営する医療法人の監督権限は2015年に都道府県に移っています。
医療法人として運営するメリット・デメリットは個人事業としてクリニックを運営する場合と異なります。
-メリット-
* 社会保険診療報酬や国民健康保険から医療報酬を団体で受け取り、医師個人には給与として支払われる。
* 源泉徴収がなくなり、給与所得控除を受けられる。
* 理事長変更のみで相続税がかからない。
* 事業展開が容易になる。
-デメリット-
* 永続性が求められるため、簡単に引退や解散できない。
* 監督官庁の監査が厳しく、書類作成が増える。
* 交際費に上限がある。
-医療法人の種類-
* -社団医療法人-
* 医療法人全体の約99%を占める。
* 出資持分のあるものとないものがある。
* 社員総会、理事、監事、理事長などの組織・役職が置かれている。
* -財団医療法人-
* 理事長の諮問機関として評議員会を置く必要がある。
* 設立時の運営資金はすべて寄付で賄う。
* 税金面の制約も多く、全国で400程度と社団医療法人より圧倒的に少ない。
医療法人とは?
医療法人とは、医療機関を運営するために設立される非営利の法人です。営利を追求せず、患者の医療の提供に特化しています。医療法人の種類としては、病院やクリニックなどの医療サービスを提供する「医療法人社団」と、医師や看護師などの医療従事者のための福利厚生や研修を行う「医療法人財団」があります。医療法人は、株式会社などの営利法人と異なり、剰余金が発生した場合には医療の向上や施設の充実などに充てられます。
医療法人の設立要件
「医療法人制度の基礎知識」
「医療法人の設立要件」
医療法人とは、医療機関を運営することを目的とする一般社団法人または一般財団法人です。医療法人制度を利用するには、法の定める一定の要件を満たさなければなりません。
まず、定款を作成する必要があります。定款には、法人の目的、事業の内容、役員の構成などが定められています。また、医療機関の開設許可を取得することも必要です。開設許可は、保健所または都道府県知事から取得します。さらに、設立に際して一定の資金を用意する必要があります。資金は、医療機関の運営に充てられます。これらに加えて、設立認可を厚生労働大臣から得る必要があります。設立認可は、要件を満たしていることが確認された場合に与えられます。
医療法人のメリット・デメリット
-医療法人のメリット-
医療法人制度には、数多くのメリットがあります。非課税収入の拡大は、大きなメリットの一つです。医療法人は公益性を認められているため、一定の収益や所得は租税負担の対象外となります。これにより、資金繰りが改善され、医療サービスの充実や事業拡大に充てることができます。また、法人格の取得により、医療機関が独立した法的実体として認可されるため、契約締結や訴訟における責任が個人ではなく法人に移るというメリットもあります。
-医療法人のデメリット-
一方で、医療法人制度にはいくつかのデメリットもあります。設立や運営のハードルが高いことが挙げられます。医療法人の設立には、一定の要件を満たす必要があり、書類の作成や行政手続きが複雑で、時間がかかる場合があります。また、医療法人は公益性を重視されるため、利益追求が制限され、経営の自由度が低下するデメリットもあります。
医療法人の種類
医療法人の種類
医療法人は、その設立目的や運営形態によって種類が区分されています。主な種類は以下のとおりです。
* 医療法人社団医療の提供を中心とした非営利型の法人。出資者(社員)が持ち分を持っており、収益は医療活動や福利厚生に充てられます。
* 医療法人財団特定の事業(医療活動など)を行うために設立された非営利型の法人。社員はおらず、設立時に出資された財産を基に運営されます。
* 医療法人協同組合医療従事者が共同出資して設立した協同型の法人。組合員全員が社員となり、収益は医療サービスの提供や組合員の福利厚生に充てられます。
* 医療法人相互会医療保険事業や医療機関の相互扶助などを目的とした非営利型の法人。加入者が積み立てた資金を基に医療サービスの提供や保障を行っています。
医療法人制度の変遷
医療法人制度は、1952年に制定され、非営利で医療を提供する医療機関を支援するために作られました。当初は、「財団法人」として扱われ、国や地方公共団体からの助成金などにより運営されていました。
しかし、その後、医療のニーズの変化や経済情勢に合わせて制度が徐々に改編されていきました。1986年には、営利医療法人制度が導入され、従来の非営利医療法人とは別に、営利を目的とした医療法人の設立が認められました。
さらに、2011年には、医療法人制度が大きく改定されました。非営利医療法人制度が廃止され、すべての医療法人が営利医療法人として取り扱われるようになりました。この改定により、医療法人の運営形態に柔軟性が増し、より効率的な医療提供が可能になると期待されています。