口とがらし反射:錐体路障害を示す病的反射
医療と看護を知りたい
『口とがらし反射』について教えてください。
医療の研究家
『口とがらし反射』とは、患者の上唇の中央を叩くと唇が突出してとがらす反射のことです。
医療と看護を知りたい
その原因は何ですか?
医療の研究家
両側錐体路障害が原因で起こる病的反射です。
口とがらし反射とは。
医療用語で「口尖り反射」と呼ばれる反応があります。この反射では、患者の上唇中央を指先で軽く叩くと、唇が突き出て尖ります。両側錐体路障害が原因で起こる病的反射です。別名で「口尖らせ反射」とも呼ばれます。
口とがらし反射とは
口とがらし反射とは、疼痛刺激に反応して口をすぼめる異常な反射です。錐体路障害の兆候として現れ、錐体路が損傷することで、随意運動の制御が低下し、反射が過剰になります。錐体路とは、大脳から脊髄に伸びる神経線維の束で、随意運動を制御しています。したがって、口とがらし反射は、錐体路が何らかの損傷を受けていることを示しています。この反射は、脳血管障害、脊髄損傷、多発性硬化症などの神経学的疾患で発生する可能性があります。
原因となる錐体路障害
口とがらし反射は錐体路障害に関連する病的反射です。錐体路障害は、運動指令を脳から脊髄、そして筋肉に伝える神経経路の障害を指します。錐体路が損傷すると、随意運動の制御が損なわれ、筋肉の弱さ、不随意運動、痙縮などの症状が現れます。
錐体路障害を引き起こす原因としては、脳卒中、脳腫瘍、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症などが挙げられます。これらの疾患は錐体路を圧迫、損傷、または破壊することで、運動機能障害につながります。
神経学的意義
-神経学的意義-
口とがらし反射は、錐体路障害を示す重要な病的反射です。錐体路とは、大脳皮質運動野から脊髄の運動神経細胞へ情報を伝達する神経線維の経路です。錐体路が損傷すると、皮質脊髄路、脳幹脊髄路、脊髄脊髄路のいずれかが障害されます。これにより、随意運動が阻害され、反射的な運動が亢進します。
口とがらし反射は、錐体路障害の指標として広く用いられます。これは、錐体路の障害によって運動ニューロンの興奮性が増大し、反射的な収縮が引き起こされるためです。反射の程度は、障害の重症度を反映しています。反射が強いほど、錐体路障害がより重篤である可能性があります。
口とがらし反射は、脳血管障害、脊髄損傷、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症などの錐体路障害のあるさまざまな神経疾患の診断と追跡に役立ちます。反射の検査は簡便で非侵襲的であり、患者の運動機能の評価に貴重な情報を提供します。
検査方法
-検査方法-
口とがらし反射を検査するには、患者の唇を軽く叩きます。正常では、下顎は少しだけ反射的に跳ね上がります。この反応が過剰、もしくはまったくなければ、錐体路の障害を示唆しています。
その他の病的反射
口とがらし反射以外にも、錐体路障害を示唆する病的反射がいくつかあります。
バビンスキー反射足の裏の外側縁を刺激すると、親指が上方に向き、他の四本の指が扇状に広がります。
チャドウィック反射膝の腱を叩くと、足首が底屈します。
ゴードン反射膝蓋腱を叩くと、下腿が内在し、足が外反します。
ロスリーモ反射アキレス腱を叩くと、足が外反します。
これらの病的反射は、錐体路が障害されているか、または錐体路の核が障害されていることを示唆します。