知っておきたい医療用語『悪液質』とは?
医療と看護を知りたい
先生、『悪液質』って何ですか?
医療の研究家
悪液質とは、がんや慢性の消耗性疾患によって起こる体の栄養状態の異常な状態だよ。
医療と看護を知りたい
栄養状態が異常になるってどういうことですか?
医療の研究家
筋肉量が落ちて痩せたり、脂肪が減って体力が低下したり、代謝が低下して栄養をうまく利用できなくなるんだ。
悪液質とは。
医療の世界では「悪液質」という用語が使われます。これは、がんをはじめとする慢性的な消耗疾患によって引き起こされる、さまざまな代謝異常が重なった症状の集まりです。
悪液質とは何か?
悪液質とは、慢性疾患や重度の外傷により、身体が衰弱している状態のことです。主な特徴としては、筋肉量の減少、体脂肪の喪失、食欲不振、倦怠感などが挙げられます。こうした症状は、病気が進行するにつれて悪化し、日常生活にも支障をきたすようになります。
悪液質の原因
-悪液質の原因-
悪液質は、進行性の病気や治療の副作用によって引き起こされる栄養不良の重篤な状態です。その主な原因には、腫瘍による栄養素の代謝異常、炎症性サイトカインによる代謝の亢進、消化管機能の低下などが挙げられます。さらに、食事摂取の低下や吸収の障害も悪液質に寄与します。また、悪性腫瘍では、がん細胞が栄養素を消費したり、食欲を抑える物質を産生したりすることも悪液質の原因となります。
悪液質の症状
悪液質の代表的な症状として、体重の減少が挙げられます。通常、体重は5%以上減少し、筋肉の萎縮も伴います。また、食欲不振や倦怠感、疲労感などの全身倦怠症状が現れます。さらに、貧血や低タンパク血症、免疫力の低下、骨密度低下などの身体的症状も特徴です。これらの症状は、単独で現れることは少なく、複数の症状が組み合わさって現れます。
悪液質の治療
悪液質の治療には、栄養補給が欠かせません。高カロリー、高タンパク質の食事や栄養補助食品を摂取することで、体重や筋肉量の維持を図ります。また、食欲不振には抗がん剤やステロイドなどの薬物療法が用いられることもあります。
さらに、炎症の抑制も重要です。炎症により代謝異常が起こり、悪液質を悪化させるため、抗炎症薬や抗サイトカイン療法が検討されます。また、感染症や疼痛のコントロールも、悪液質の進行を抑える上で不可欠です。
心理的サポートも治療の一環です。悪液質は精神的にも肉体的にも負担が大きく、患者の不安や抑うつに対処することが大切です。カウンセリングや精神療法が有効な場合があります。
悪液質の予後
悪液質の予後は、悪液質自体の重症度や基礎疾患によって異なります。軽度の悪液質の場合、栄養介入や治療によりある程度改善が見込めます。しかし、進行した悪液質では予後不良で、死亡率も高くなります。
悪液質の予後を左右する主な要因は、以下の通りです。
* 基礎疾患の重症度 癌や心臓病などの基礎疾患の重症度が重いほど、悪液質の予後も悪くなります。
* 悪液質の進行度 軽度の悪液質の場合は改善の可能性がありますが、進行した悪液質の場合は予後が悪くなります。
* 栄養状態 悪液質患者は栄養不足に陥っているため、予後を改善するには十分な栄養摂取が必要です。
* 治療への反応 悪液質に対する治療(栄養介入、薬物療法など)に反応が良好であれば、予後も改善します。
悪液質の治療は、基礎疾患の治療と栄養サポートを組み合わせたアプローチで行われます。悪液質の予後は患者によって異なりますが、早期発見と適切な治療が重要なポイントです。