ラクトフェリン:医療で注目の小児科用語
医療と看護を知りたい
先生、ラクトフェリンってどんなタンパク質ですか?
医療の研究家
ラクトフェリンは分子量約8万の鉄結合性糖タンパク質で、抗微生物活性やビフィズス菌増殖作用など多彩な生理機能を持つタンパク質だよ。
医療と看護を知りたい
どんな生理機能があるんですか?
医療の研究家
抗微生物活性、ビフィズス菌増殖作用、鉄吸収調節作用、細胞増殖調節作用、抗炎症作用、免疫調節作用などがあるよ。
ラクトフェリンとは。
「小児科領域で用いられる医学用語であるラクトフェリンとは、抗菌作用、ビフィズス菌の増殖促進作用、鉄の吸収調節作用、細胞増殖の制御作用、炎症の抑制作用、免疫調節作用など、さまざまな生理機能を有する、鉄と結合する約80,000の分子量の糖タンパク質のことです。」
ラクトフェリンの抗微生物活性
-ラクトフェリンの抗微生物活性-
ラクトフェリンは、母乳や他の体液に存在する多機能のタンパク質です。その抗微生物活性は、細菌やウイルスなどの病原体と戦う重要な役割を果たしています。
ラクトフェリンは、病原体の細胞壁に結合して、その増殖に必要な鉄分を取り込みます。また、病原体細胞のタンパク質合成を阻害し、その増殖を防ぎます。さらに、ラクトフェリンは、細菌の細胞膜を破壊するタンパク質分解酵素の産生を誘発すると言われています。
これらの作用を介して、ラクトフェリンは、肺炎球菌、大腸菌、インフルエンザウイルスなど、幅広い病原体に対する抗微生物活性を示します。この抗菌作用は、特に小児にとって重要です。乳児は免疫系が未発達であるため、病原感染に対する脆弱性が高くなります。したがって、ラクトフェリンが豊富な母乳を摂取することは、小児の健康を維持するために不可欠です。
ビフィズス菌増殖作用による腸内環境改善
ラクトフェリンは腸内環境に有益な作用を示すことが近年明らかになっています。その中でも特筆すべきはビフィズス菌の増殖促進作用です。ビフィズス菌は乳幼児の腸内フローラを構成する代表的な善玉菌であり、その増加は腸内環境のバランス維持に役立ちます。ラクトフェリンはこのビフィズス菌の増殖を促進し、結果として腸内の善玉菌が増えて悪玉菌が減少することが期待できます。これによって、腸内感染症やアレルギー疾患などの予防や改善に寄与することが示されています。
鉄吸収調節作用による貧血予防
ラクトフェリンの注目すべき作用の一つが、鉄吸収調節作用による貧血予防です。ラクトフェリンは鉄と結合する能力を有しており、小腸の上皮細胞に鉄輸送タンパク質を誘導します。このタンパク質が鉄を血液中に取り込むことで、鉄の吸収が促進されます。
鉄欠乏は貧血を引き起こす主な原因ですが、ラクトフェリンは鉄吸収を向上させることで、貧血の予防に寄与します。特に、早産児や未熟児は鉄欠乏になりやすく、ラクトフェリンの摂取が貧血のリスクを低減することが示されています。
細胞増殖調節作用による成長促進
細胞増殖調節作用による成長促進
ラクトフェリンには、細胞の増殖を調整する働きがあります。ラクトフェリンは、細胞分裂を促進する成長因子を抑制することで、細胞の過剰増殖を防ぎます。また、アポトーシスと呼ばれる細胞の自然死を誘導することで、異常な細胞の増殖を抑制します。これらの細胞増殖調節作用により、ラクトフェリンは小児の健康的な成長と発育に寄与することが期待されています。
抗炎症作用と免疫調節作用による感染症予防と免疫力向上
近年、小児科分野で注目を集めているラクトフェリンは、母乳に含まれる重要なタンパク質成分です。この物質には、二つの重要な生理作用があります。
まず、ラクトフェリンには抗炎症作用があります。体内に侵入した病原体や損傷に対する炎症反応を抑制することで、感染症の重症化を防ぎます。たとえば、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症において、ラクトフェリンの抗炎症作用が症状を軽減することが示されています。
さらに、ラクトフェリンには免疫調節作用もあります。免疫細胞の働きを調節することで、過剰な免疫反応を抑え、免疫系のバランスを保ちます。これにより、自己免疫疾患やアレルギーなどの免疫系の異常を防ぐことが期待されています。