
APC遺伝子:大腸がん発症の鍵を握るがん抑制遺伝子
APC遺伝子は、大腸がんの発生において重要な役割を果たすがん抑制遺伝子です。この遺伝子は、アデノーマポリポーシス大腸がん(APC)症候群を引き起こす変異と関連しており、この症候群は多発性大腸ポリープと大腸がんのリスクが非常に高くなります。
APC遺伝子は、β-カテニンと呼ばれるタンパク質の分解に関与しています。β-カテニンは、細胞増殖と分化を制御する重要なシグナル伝達経路であるWnt経路の一部です。APC遺伝子が変異すると、β-カテニンが分解されずに蓄積し、過剰なWntシグナル伝達を引き起こします。この異常なシグナル伝達は、大腸上皮細胞の増殖を促進し、最終的にポリープやがんの形成につながるのです。